営業の仕事をしていると、「すぐに●●をやってくれ」、「××な機能はできないのか?」といった難しい要望を受けることが多々ある。
営業経験が浅い頃は「要望が多くて面倒くさいお客さんだ」と自分本位に考えてしまうことが多かったが、あるとき私は以下の法則に気づいた。
法則1:要望をしないお客様も、口にしないだけで実は同じ要望を持っている
「表に出てくるクレームは氷山の一角」という言葉に似ているが、1つの面倒な要望があるとき、実は他のお客様も同じ要望を持っていることが多い。他のお客様は面倒な要望を言わない代わりに、「契約解除」という形で不満を伝えているだけなのだ。
実際、面倒な要望によって改善した商品を他のお客様に提案した際、「こんな商品が欲しかったんだよ!!」と感謝されるケースは多い。
面倒なお客様の要望に応える商品改善は、結果的にお客様の契約解除防止とさらなる売上アップに繋がっていることを忘れてはいけない。
法則2:面倒な要望をするお客様のおかげで自社の人材のレベルが上がる
面倒なお客様とのやりとりは一筋縄ではいかないことが多いが、営業研修よりも、はるかに効率的に営業マンを成長させることができる。
要望レベルが高いお客様と最前線でやり取りした人材は、品質に妥協しないスタンスを身に着け、スキル・知識などあらゆる面で成長していくのだ。
私が起業前に在籍していたリクルートでも、あえて3年目前後の若手に要望レベルが高い大手クライアントを担当させ、エース級の営業マンに成長させるケースを何度も見てきた。
絶対にやってはいけないことは顧客の批判。
自社サービスのレベルの低さを棚に上げ、「そんな要求をするなら契約解除して結構!」というスタンスをとる会社を稀に見かけるが、そういった会社が衰退の一途をたどるのは間違いない。
クレームと要望は全く違う
クレームとは、事実に基づかない(虚偽)の要求や、ビジネスとして不公平な要求。
要望とは、事実に基づく要求や、ビジネスとして公平な要求。
一方的なクレームは断固とした対応をし、要望は真摯に向き合うのが正解。
よくある「値下げ交渉」はクレームではなく要望。自社として公平だと考える「値下げルール」を明確に決め、ルールに則った対応をすべきだろう。
要望の多い面倒なお客様が企業を成長させる。
要望レベルが高いお客様は大手企業や成長企業が多く、そもそも「当たり前基準」が高い。それらの要望を「面倒だ」と感じてしまう時点で、自社の「当たり前基準」が低いのだと認識したほうが良いのかもしれない。
無意味な要望をいうお客様もいるので要望を選別する必要はあるが、大手企業や成長企業の「面倒な要望」により「当たり前基準」を上げられると考えれば、これらの要望は「金言」だと感じないだろうか。
弊社も「高い要求をされたとき」こそ「成長のチャンス」と心の中でつぶやきながら日々の業務に取り組もうと思う。